令和8年度、京都府の最低賃金は現行の1,122円から58円引上げられ、時間額1,180円になります(令和8年11月16日発効予定)。
全国的にも大幅な引上げが続く中、京都府内の中小企業・小規模事業者にとって、人件費への影響は避けられないテーマです。
本コラムでは、令和8年度時点の情報として、引上げ額・全国および隣接県との比較・実務上の注意点・活用できる助成金を整理してご紹介します。
令和8年度「京都府最低賃金」の概要と基本ルール
令和8年8月24日 京都労働局から「令和8年度 京都府最低賃金の改正決定」に関する発表がありました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改定後の最低時給額 | 1,180円(現行額1,122円) |
| 引上げ額・率 | +58円(+5.17%) |
| 発効予定日 | 令和8年11月16日 |
中央最低賃金審議会が示した引上げ目安(京都府は「Bランク」に区分されており56円)を2円上回る改定です。
京都府の改定率5.17%は、令和7年度(6.05%)に次ぐ高い水準です。
全国加重平均は1,177円(令和7年度1,121円から+56円)となりました。
改定後の最高額は東京都の1,280円、引上げ額が最も大きいのは佐賀県の65円(1,095円に改定)となっています。
参考資料>>>全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申
隣接県との比較
京都府が接する6つの府県について、令和8年度の最低賃金額を比較しました。
※京都府との差(月給)はフルタイム(月173時間)労働したとして試算
| 都道府県 | 令和8年度額 | 京都府との差 (時給) | 京都府との差 (月給) |
|---|---|---|---|
| 大阪府 | 1,231円 | +51円高い | +8,823円高い |
| 兵庫県 | 1,172円 | -8円低い | -1,384円低い |
| 三重県 | 1,143円 | -37円低い | -6,401円低い |
| 滋賀県 | 1,136円 | -44円低い | -7,612円低い |
| 福井県 | 1,112円 | -68円低い | -11,764円低い |
| 奈良県 | 1,107円 | -73円低い | -12,629円低い |
京都府は、隣接6県の中では大阪府に次いで高い水準です。
特に大阪府との差は、フルタイム換算で月8,000円以上にもなります。大阪府方面への通勤が可能なエリアでは、採用面でこの差を意識した賃金設計が必要になる場合があります。
逆に、滋賀県・奈良県方面と比較すると京都府の方が高水準のため、その点は採用競争力としてアピールできる要素にもなります。
深夜時給アップは「法律上の対応」であることが多い
「時給1,180円」とセットで「深夜時給1,475円」のように、より高い金額が示されている求人募集を目にすることが11月以降に増えてきます。
これは、労働基準法37条4項に基づく深夜労働(22時〜5時)の割増賃金(25%以上)の下限が決まるためです。
たとえば、通常時給を最低賃金と同額の1,180円に設定している場合、深夜時間帯の割増後の下限額は1,180円×1.25=1,475円となります。
事業主が独自に深夜手当を上乗せしたわけではなく、法律上の計算をそのまま反映しているだけ、というケースが多くあります。
求職者側もこの点を理解しておくと、求人票の見方が変わるかもしれません。
事業主側は、最低賃金の改定のたびに、深夜割増賃金の下限額も見直しが必要になる点にご注意ください。
放置した場合のリスク
最低賃金の改定に対応せず、旧額のまま賃金を支払い続けた場合、以下のリスクがあります。
- 最低賃金法違反:最低賃金額以上の賃金を支払わない場合、50万円以下の罰金(最低賃金法40条)
- 差額賃金の遡及払い(バックペイ)請求:気づかず違反状態が続いた場合、労働者から遡って差額の支払いを求められる可能性があります(詳細は令和7年度の記事をご覧ください。)
- 固定残業代を採用している場合の再計算:基本給に固定残業代を含めた設計をしている場合、最低賃金の引上げにより、基本給部分だけで最低賃金を満たしているか改めて確認が必要です
対応の選択肢:業務改善助成金の活用
最低賃金の引上げに伴う負担増への対応策として、業務改善助成金の活用が選択肢の一つになります。事業場内の最低賃金を一定額以上引上げ、生産性向上のための設備投資等を行った中小企業事業主に対して、最大600万円が支給される制度です。引上げ額や対象人数によって支給額が変わるため、詳細は個別記事でご確認ください。
まとめ:まずは自社の賃金台帳の確認から
京都府の最低賃金は令和8年11月16日から1,180円に改定されます。
まずは、パート・アルバイトを含むすべての労働者の時給が新しい最低賃金額を下回っていないか、賃金台帳で確認することから始めましょう。
固定残業代を採用している場合や、深夜割増賃金の設定がある場合は、あわせて見直しが必要です。
なお、今回の金額は各都道府県の地方最低賃金審議会による答申段階の金額です。
今後、異議申出に関する手続等を経て、各都道府県労働局長が決定します。発効日が変更される可能性があります(都道府県ごとに異なる業務改善助成金の〆日が変わる可能性もある)。
「うちの賃金設計で最低賃金を満たせているか確認したい」「業務改善助成金の活用を検討したい」といったご相談は、ぜひ当事務所までお気軽にお問い合わせください。

本記事は執筆時点(令和8年8月24日発表時点)の公表資料に基づく情報です。改定額は今後の異議申出手続き等により変更となる可能性があります。最新情報は京都労働局公式サイトでご確認いただくか、当事務所までお問い合わせください。



