【令和8年度版】人材確保等支援助成金「外国人労働者就労環境整備助成コース」とは?外国人材の定着を後押しする最大80万円の助成金

【令和8年度版】人材確保等支援助成金「外国人労働者就労環境整備助成コース」とは?外国人材の定着を後押しする最大80万円の助成金 働きやすい職場づくり

「外国人従業員を雇っているが、言葉の壁や日本の制度理解の違いから、思わぬ労務トラブルにつながらないか心配」
そう感じている経営者・人事担当者の方も多いのではないでしょうか。

外国人労働者は、言語や日本の労働関係法令についての知識不足から、労働条件などをめぐるトラブルが生じやすい面があります。
こうした事情に配慮した就労環境の整備に取り組み、外国人労働者の職場定着を図る事業主を支援する制度が、人材確保等支援助成金の「外国人労働者就労環境整備助成コース」です。

本コラムでは、令和8年度時点の情報として、この制度の仕組みを整理してご紹介します。

※ほかの助成金もあわせて検討したい場合はおすすめ助成金をご覧ください。

外国人労働者就労環境整備助成コースとは

このコースは、外国人労働者特有のニーズに配慮した就労環境整備の措置を計画に基づいて実施し、外国人労働者の職場定着に取り組む事業主を支援する制度です。

65歳超雇用推進助成金や両立支援等助成金の多くのコースが「1つの措置を実施すれば支給対象」という設計であるのに対し、このコースは必須の2措置に加えて選択措置を組み合わせて実施する「積み上げ型」である点が特徴です。
実施した措置の数に応じて支給額が増える仕組みになっています。

就労環境整備措置

必須の2措置に加え、選択措置のうち1つ以上を実施する必要があります。必須の2措置だけでは支給対象になりません。

必須措置(両方を実施)

  • イ.雇用労務責任者の選任:外国人労働者が就労する事業所ごとに選任し、計画期間中に最低1回以上の面談を実施するなど
  • ロ.就業規則等の多言語化:就業規則・労働条件通知書・雇用契約書のいずれかを多言語化し、周知する(翻訳負担だけを考えると労働条件通知書の負担が低い)

選択措置

  • ハ.苦情・相談体制の整備:事業所内窓口の設置または外部機関への委託。支給申請時点でも継続して運用していることが必要
  • ニ.一時帰国のための休暇制度の整備:新たに、年1回以上・連続5日以上取得できる有給休暇制度を規定
  • ホ.社内マニュアル・標識類等の多言語化:安全衛生に関するマニュアルや掲示物等を新たに多言語化(36協定のマニュアルも対象)

苦情・相談体制の整備における注意点

選択措置「ハ.苦情・相談体制の整備」については、新たに整備した苦情・相談体制が、特定技能外国人を雇用する事業所に設けられたものである場合、および技能実習法上の監理団体に設けられたものである場合は、この措置の支給対象にはなりません。技能実習生・特定技能外国人を受け入れている事業所でこの措置を検討する際は、注意が必要です。

対象事業主の要件

支給対象となるには、次の要件を満たす必要があります。
項目ごとに、いつの時点で確認・確定するものかの目安を付けています。

【まず確認】今の状態で自己診断できるもの

  • 雇用保険適用事業の事業主であること
  • 外国人雇用状況届出を適正に行っていること
  • 過去にこのコースの支給を受けたことがある場合は、直近の支給決定日の翌日から起算して3年を経過していること

【計画前】計画期間が始まる前から問われるもの

  • 計画期間の初日の前日から起算して6か月前の日から、外国人労働者を解雇等していないこと
    ※計画後も同様に、計画期間の末日まで解雇等をしていないことが求められます
    なお、外国人労働者雇用労務責任者講習を受講したうえで、就労環境整備措置の実施日の前日から起算して6か月前までの間に解雇等していない場合は、確認の扱いが変わり、後述する「特例申請」による早期の支給申請が可能になります。

【計画中】計画期間内に実行するもの

  • 認定を受けた就労環境整備計画に基づき、計画期間内に就労環境整備措置を導入・実施すること

【申請前・計画後】計画期間が終わってから確定するもの

  • 措置実施日の翌日から6か月間(離職率算定期間)の末日時点で、外国人労働者の離職率が15%以下であること。ただし、離職率算定期間の初日における外国人労働者数が2人以上10人以下の場合は、「離職者数1人以下」となります。
  • 離職率算定期間の末日まで継続して雇用している外国人労働者が1人以上いること

なお、支給額に中小企業とそれ以外による差はありません。
就労環境整備計画そのものの作成・認定申請(具体的な提出時期・提出先)については、「申請の流れ」で改めてご説明します。

対象労働者の要件

このコースで対象となる「外国人労働者」は、次の要件をすべて満たす方を指します。

  • 外国人雇用状況届出の対象者であること
  • 事業主に直接雇用され、労働契約を締結していること
  • 雇用保険の被保険者であること(短期雇用特例被保険者・日雇労働被保険者を除く)

この定義自体には、技能実習生や特定技能外国人を対象から除外する規定はなく、上記を満たせば対象労働者としてカウントされます。
ただし、後述する選択措置「苦情・相談体制の整備」については、特定技能外国人を雇用する事業所や技能実習法上の監理団体に新たに設ける体制は、その措置単体の対象にはならないという別の制限があります。
「対象労働者に含まれるかどうか」と「特定の措置の対象になるかどうか」は別の話である点にご注意ください。

支給額

実施した措置1つにつき20万円が支給されます。
ただし、必須2措置+選択1措置以上が最低ラインとなり、支給額の上限は80万円です(5措置×20万円=100万円にはなりません)。
結果、以下の表の支給額になります。

実施した措置数支給額
3措置(必須措置+選択1措置)60万円
4措置以上(必須措置+選択2措置以上)80万円(上限)

申請の流れ

  1. 計画申請:計画期間初日の6か月前から1か月前までに、本社所在地を管轄する都道府県労働局へ計画書を提出し、認定を受ける
  2. 計画期間:認定された計画に基づき、計画期間内に措置を導入(最大1年以内)
  3. 離職率算定:措置終了日(実施完了日)の翌日から6か月間
  4. 支給申請:離職率算定日の翌日から2か月以内
     ┗前述の特例(外国人労働者雇用労務責任者講習を受講)に該当する場合は、措置終了日の翌日から2か月以内での申請となります(6か月前倒し)。

よくある質問

Q. 必須の2措置(雇用労務責任者の選任・就業規則等の多言語化)だけを実施した場合でも支給されますか?
必須2措置に加えて、選択措置(苦情・相談体制の整備/一時帰国のための休暇制度/社内マニュアル等の多言語化)のうち1つ以上を実施することが計画認定の要件となっているため、必須2措置のみでは支給対象になりません。

Q. 過去に日本人労働者を解雇したことがあると、このコースは利用できませんか?
計画期間の初日の6か月前から計画期間の末日までの間に、事業主都合で外国人労働者を解雇等していないことが要件です。日本人労働者の解雇は要件の対象外です(支給対象となります)。

Q. 外国人労働者雇用労務責任者講習の受講メリットは何ですか?
就労環境整備措置をすべて終了していれば外国人従業員が全員退職しても助成金申請ができる(離職率の条件がなくなること)、就労環境整備措置が終了した日の翌日から支給申請ができる(審査は計画期間終了後から開始)の2点が挙げられます。当講習の受講を強く推奨します。

まとめ:複数の措置を組み合わせて、外国人材が定着する職場へ

このコースは、就業規則の多言語化や相談体制の整備といった、外国人労働者に限らず職場全体のコミュニケーションの質を底上げする効果も期待できる取り組みを後押しする制度です。必須の2措置に加えて、自社の状況に合った選択措置を組み合わせることで、最大80万円の支援を受けながら、外国人材が安心して長く働ける環境づくりを進めることができます。

「どの措置から着手すればよいか分からない」「うちの会社で対象になる従業員がいるか確認したい」といったご相談は、ぜひ当事務所までお気軽にお問い合わせください。

本記事は執筆時点(令和8年度)の公表資料に基づく情報です。助成金の要件・支給額等は、年度改定に限らず随時見直されることがあります。最新情報は厚生労働省公式サイトでご確認いただくか、当事務所までお問い合わせください。