「残業が多く、翌日の始業までに十分な休息時間が取れていない社員がいる」「勤務間インターバル制度を導入したいが、何から手をつければよいか分からない」
そうした課題に取り組む中小企業事業主を支援するのが、働き方改革推進支援助成金の「勤務間インターバル導入コース」です。
このコースは、研修や労務管理用ソフトウェアの導入といった「改善事業」を実施し、その結果として勤務間インターバル制度を導入するなどの「成果目標」を達成した場合に、その実施にかかった経費の一部が支給される仕組みです。
本コラムでは、令和8年度時点の情報として、対象事業主の要件・改善事業の内容・成果目標・支給額を整理してご紹介します。
※ほかの助成金もあわせて検討したい場合はおすすめ助成金をご覧ください。
勤務間インターバル導入コースとは
「勤務間インターバル」とは、終業時刻から翌日の始業時刻までの間に、一定時間以上の休息時間を確保する仕組みのことです。
このコースは、労務管理担当者向けの研修や労務管理用ソフトウェアの導入といった取り組み(改善事業)を行い、その結果として勤務間インターバル制度を新たに導入する、または既存の制度を拡充するなどの成果を上げた中小企業事業主に対して、改善事業にかかった経費の一部を助成する制度です。
対象事業主の要件
- 労働者災害補償保険の適用を受ける中小企業事業主であること
※中小企業の具体的な基準は助成金でよく出てくる「中小企業事業主」とは?をご確認ください。 - 年5日の年次有給休暇取得に向けて、年休管理簿や就業規則などを整備していること
- 以下のいずれかに該当する事業場を有すること
① 勤務間インターバルを導入していない事業場
② 既に休息時間数が9時間以上の勤務間インターバルを導入している事業場であって、対象となる労働者が当該事業場に所属する労働者の半数以下である事業場
③ 既に休息時間数が9時間未満の勤務間インターバルを導入している事業場
※本コラムでは新規に勤務間インターバルを導入予定の事業場(上記の①)を対象に案内します。
既に導入済み(上記の②③)は今コラムの対象外ですので、ご留意ください。
改善事業の内容
次の9種類の中から1つ以上を選択し、成果目標の達成に向けて実施します。
| 改善事業 | 内容の例 |
|---|---|
| 労務管理担当者に対する研修 | 外部講師による勤務間インターバル制度や労務管理に関する研修 |
| 労働者に対する研修、周知・啓発 | 労働時間の設定改善に関する研修、ノー残業デーの周知等 |
| 外部専門家によるコンサルティング | 社会保険労務士等による業務体制の現状把握・改善提案 |
| 就業規則・労使協定等の整備 | 勤務間インターバル制度に関する規定の作成・変更 |
| 人材確保に向けた取組 | 求人広告の掲載、採用ページの作成等 |
| 労務管理用ソフトウェア等の導入・更新 | 勤怠管理ソフトウェアの導入等 |
| 労務管理用機器の導入・更新 | タイムレコーダー、ICカード読取装置の導入等 |
| デジタル式運行記録計の導入・更新 | 運送業向けのデジタコの導入等 |
| その他労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新 | POSレジ、自動食器洗い乾燥機等(業務の効率化に資するものに限る) |
なお、単なる経費削減(LED電球への交換等)や、労働者の快適性向上のみを目的とするもの(オフィスのエアコン更新、机・椅子の増設等)は、改善事業として認められません。
支給額
支給額は、「対象労働者の範囲」「休息時間数」の組み合わせによって決まります。
| 適用範囲 | 休息時間数 | 補助率 | 支給上限額 |
|---|---|---|---|
| 労働者の4分の1超2分の1以下 | 9時間以上11時間未満 | 3/4 | 50万円 |
| 11時間以上 | 75万円 | ||
| 労働者の2分の1超 | 9時間以上11時間未満 | 100万円 | |
| 11時間以上 | 150万円 |
補助率は原則4分の3ですが、常時使用する労働者数が30人以下で、設備・機器等の所要額が30万円を超える場合は5分の4に上がります。
上記の支給上限額とば別に、改善事業の内容ごとに、助成対象経費の上限額が定められているため、注意してください(例:労務管理担当者研修・労働者研修(計30万円)、周知・啓発や外部専門家によるコンサルティング、就業規則・労使協定(36協定を除く)の整備:10万円など
一方、労務管理用ソフトウェアや機器等の導入・更新にかかる費用(借損料・機械装置等購入費等)には、改善事業ごとの上限額の定めはありませんが、支給額全体は上記の支給額表の上限を超えません。
すでに一部の勤務間インターバルを導入している場合や、2回目の交付申請を行う場合は、上記とは異なる金額・組み合わせが適用されます。自社の現状に応じた金額を確認したい場合は、当事務所までお問い合わせください。
勤務間インターバルの導入とあわせて、賃金の引き上げ、または時間外労働の割増賃金率の引き上げを行うことで、支給額に加算を受けられる仕組みもあります。
いずれも成果目標として選択制(任意)で、達成すると別途上限額が加算されます。
なお、この加算は、過去2年間に、月45時間を超える時間外労働の実態があることが前提となります
申請の流れ・申請期限
- 交付申請:事業実施計画を作成し、交付申請期限(令和8年11月30日)までに労働局へ提出
- 交付決定:労働局による審査を経て交付決定
- 改善事業の実施:交付決定を受けた計画に沿って、事業実施予定期間内(令和9年1月31日)までに改善事業を実施
- 支給申請:事業実施予定期間が終了した日から起算して30日後、もしくは令和9年2月5日のいずれかの早いまでに支給申請書類を提出
- 交付額の確定:労働局による審査を経て、交付額が確定し支給
申請先は、中小企業事業主の本店所在地を管轄する都道府県労働局です。電子申請システム「Jグランツ」からの申請も可能です。
よくある質問
Q. 勤務間インターバル制度を一部の部署だけに導入しても対象になりますか?
対象労働者の範囲(4分の1超2分の1以下、または2分の1超)に応じて支給額が変わる仕組みのため、一部の労働者のみへの導入でも要件を満たせば対象になります。
ただし、対象範囲が狭いほど支給上限額は低くなります。
Q. 改善事業は複数を組み合わせて実施できますか?
可能です。9種類の改善事業のうち、複数を組み合わせて実施することもできます。
ただし、改善事業ごとに設定された経費上限額の範囲内である必要があります。
Q. 交付決定を受ける前に研修や機器導入を進めてしまっても大丈夫ですか?
認められません。交付決定前に契約や発注などを行った改善事業は、助成の対象に含めることができません。
必ず交付決定を受けてから改善事業に着手する必要があります。
まとめ:計画づくりから当事務所にご相談ください
勤務間インターバル導入コースは、研修や設備導入といった具体的な取り組みを通じて、従業員の休息時間確保を後押しする制度です。ほかの助成金と異なり、事業実施計画の作成や交付申請といった事前の手続きが必要な「計画助成金」型のため、スケジュール管理が重要になります。
「うちの会社はどのパターンに当てはまるのか」「事業実施計画の立て方が分からない」といったご相談は、ぜひ当事務所までお気軽にお問い合わせください。

本記事は執筆時点(令和8年度)の公表資料に基づく情報です。助成金の要件・支給額等は、年度改定に限らず随時見直されることがあります。最新情報は厚生労働省公式サイトでご確認いただくか、当事務所までお問い合わせください。



