【令和8年度版】両立支援等助成金「育休中等業務代替支援コース」とは?最大240万円の手当支給

【令和8年度版】両立支援等助成金「育休中等業務代替支援コース」とは?最大240万円の手当支給 両立支援等助成金

「育休を取る本人へのサポートはあるけれど、その分の仕事をカバーする周りの社員には何もない」
そんな声に応えるのが、両立支援等助成金の「育休中等業務代替支援コース」です。

育児休業や育児のための短時間勤務を利用する労働者の業務を、周囲の社員が代替した場合の手当支給や、代替要員を新たに雇用・派遣受入れした場合の費用を助成します。

令和8年度の改正で、業務代替手当の対象期間が最大24か月に延長され、支給額も拡大しました。
本コラムでは、令和8年度時点の情報として、3つの支給パターンと支給額、申請の流れを整理してご紹介します。

※両立支援等助成金には全6コースがあります。各コースの比較は両立支援等助成金の全コース一覧をご覧ください。

育休中等業務代替支援コースとは

育児休業取得者や育児のための短時間勤務制度利用者の業務を代替する体制整備を行った事業主を支援する制度です。次の3つのパターンで支給されます。

  1. 手当支給等(育児休業):育児休業取得者の業務を代替する周囲の労働者に、手当支給等の取組を行った場合
  2. 手当支給等(短時間勤務):育児のための短時間勤務制度を利用する労働者の業務を代替する周囲の労働者に、手当支給等の取組を行った場合
  3. 新規雇用(育児休業):育児休業取得者の代替要員を、新規雇用(派遣受入れを含む)により確保した場合

手当支給等(育児休業/短時間勤務)はすべての事業主が対象ですが、新規雇用(育児休業)は「特定事業主」のみ(後述)が対象です。

手当支給等(育児休業/短時間勤務)の要件

対象事業主の要件

  • 対象労働者(育児休業取得者・育児のための短時間勤務制度利用者)の業務を、事業主が雇用する労働者(業務代替者)に代替させていること
  • 業務の一部の休止・廃止、手順・工程の見直しによる効率化、マニュアル作成による標準化など、業務の見直し・効率化のための取組を実施していること
  • 「業務代替手当」など、代替業務に対応した賃金制度を労働協約または就業規則に規定し、その制度に基づき業務代替者の賃金を実際に増額していること
  • 育児休業制度・育児のための短時間勤務制度を労働協約または就業規則に定めていること
  • 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、労働局へ届け出ていること(プラチナくるみん認定事業主は不要)

手当支給等(育児休業)が1か月以上の場合は、上記に加えて、①育児休業取得者を原職等に復帰させる旨を就業規則等に規定していること、②実際に原職等へ復帰させたこと、③復帰後3か月以上継続して雇用保険被保険者として雇用していることも必要です。

対象労働者の要件

  • 一定の期間(育児休業は7日以上、短時間勤務は1か月以上)、対象となる制度を利用したこと
  • 育児休業開始日(または短時間勤務利用開始日)から支給申請日まで、雇用保険被保険者として継続雇用されていること

新規雇用(育児休業)の要件

対象事業主の要件

  • 前述の通り、「特定事業主」のみが対象です。
  • 育児休業制度を労働協約または就業規則に定めていること
  • 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、労働局へ届け出ていること(プラチナくるみん認定事業主は不要)

育児休業が1か月以上の場合は、上記に加えて、①育児休業取得者を原職等に復帰させる旨を就業規則等に規定していること、②実際に原職等へ復帰させたこと、③復帰後3か月以上継続して雇用保険被保険者として雇用していることも必要です。

特定事業主の範囲(新規雇用(育児休業)に適用)

資本金の額または
出資の総額
常時使用する
労働者の数
小売業(飲食業含む)5,000万円以下または300人以下
サービス業5,000万円以下300人以下
卸売業1億円以下300人以下
その他の業種3億円以下300人以下

対象労働者の要件

  • 育児休業を7日以上利用したこと
  • 育児休業開始日から支給申請日まで、雇用保険被保険者として継続雇用されていること

代替要員(対象労働者)の要件

手当支給等(育児休業/短時間勤務)と異なり、代替要員についても要件があります。

  • 代替要員が、対象労働者の業務を実際に代替していること
    ※同一事業所・部署で勤務し、また育児休業期間中に代替した期間の存在が必要です
    ※対象労働者が有資格者で、資格がなければ遂行できない業務を担当していた場合は、代替要員も同じ資格を持っている必要があります
  • 代替要員の所定労働時間が、対象労働者(育児休業取得者)の所定労働時間の2分の1以上であること(複数名の代替要員で合算することも可能)
  • 代替要員を、新たな雇い入れまたは新たな派遣受入れにより確保したこと(もとから雇用していた労働者の配置転換では対象になりません)
  • 雇用契約または派遣契約の始期が、事業主が対象労働者の妊娠の事実を知った日以降であること

このほか、いわゆる「玉突き」配置(同僚が育児休業取得者の業務を代替し、その同僚の元の業務を新規雇用者が代替する形)は支給対象です。
なお、対象労働者に業務に係る手当が支払われていた場合は、代替要員にも同様の手当を支払う必要があります(雇用形態の違いを理由に支払わないことは認められません)。

支給額

パターン支給額
手当支給等
(育児休業)
①業務体制整備経費:6万円
 ※1か月未満の育休は2万円
 ※外部専門家へのコンサル委託の場合は20万円
②業務代替手当:支給総額の3/4(プラチナくるみん認定事業主は4/5)
 ※上限10万円/月(代替期間24か月分まで対象)
手当支給等
(短時間勤務)
①業務体制整備経費:3万円
 ※外部専門家へのコンサル委託の場合は20万円
②業務代替手当:支給総額の3/4
 ※上限3万円/月(子が3歳になるまで対象、支給申請は1年毎)
新規雇用
(育児休業)
業務代替期間に応じて9万円〜81万円
(プラチナくるみん認定事業主は11万円〜99万円)

タイトル副題の240万円は手当支給等(育児休業)の②業務代替手当10万円/月×24か月=240万円を計算根拠としています。①業務体制整備経費(6万円、外部専門家委託時20万円)や後述の「有期雇用労働者加算(10万円)」、「育児休業等に関する情報公表加算(2万円)」を含めると更に支給額は増えます。

新規雇用(育児休業)の支給額の詳細

業務代替期間支給額プラチナくるみん
認定事業主
7日以上14日未満9万円11万円
14日以上1か月未満13.5万円16.5万円
1か月以上3か月未満27万円33万円
3か月以上6か月未満45万円55万円
6か月以上1年未満67.5万円82.5万円
1年以上81万円99万円

このほか、対象労働者が有期雇用労働者の場合の「有期雇用労働者加算」(10万円)、自社の育児休業取得状況等を「両立支援のひろば」で公表した場合の「育児休業等に関する情報公表加算」(2万円)があります(いずれも1事業主1回限り)。

支給人数の上限

1年度(4月1日〜翌年3月31日)につき、本コース全体で1事業主あたり対象労働者延べ10人までが上限です。初回の対象者が生じてから5年間申請でき、この間の上限人数は延べ50人となります。
くるみん認定・トライくるみん認定を受けている事業主は、年度ごとの上限(10人)にかかわらず、令和12年度まで延べ50人を限度に支給されます。

申請から支給までの流れ

申請期限はパターンや育児休業・短時間勤務の期間の長さによって細かく分かれています。

パターン申請から支給までの流れ
手当支給等
(育児休業)
育児休業が
・1か月未満の場合:育休終了日の翌日から2か月以内。
・1か月以上の場合:育休開始から1か月経過後と、育休終了後の継続雇用3か月経過後の2回に分けて申請(1年を超える場合はさらに分割)
手当支給等
(短時間勤務)
・制度利用開始から1か月経過する日の翌日から2か月以内。
・制度利用期間が1年を超える場合は、制度利用開始から1年経過後、2年経過後、子が3歳に達した月の末日後の2か月以内など、利用期間に応じて申能
新規雇用
(育児休業)
育児休業が
・1か月未満の場合:育休終了日の翌日から2か月以内。
・1か月以上の場合:育休終了日の翌日から3か月(継続雇用期間)を経過する日の翌日から2か月以内。

申請先は、いずれも申請事業主の本社等(人事労務管理の機能を有する部署が属する事業所)の所在地を管轄する労働局雇用環境・均等部(室)です。

令和8年度の改正点

令和8年4月8日付の改正により、主に以下の変更が行われています。

  • 手当支給等(育児休業/短時間勤務)に係る支給対象事業主の労働者数要件を撤廃
  • 新規雇用(育児休業)の支給対象を、業種にかかわらず常時雇用労働者300人以下の事業主(特定事業主)に拡充
  • 手当支給等(育児休業)の業務代替手当について、算定対象となる支給期間を24か月に延長
  • 新規雇用(育児休業)において、代替期間「1年以上」の区分を新設し、該当する場合は81万円(プラチナくるみん認定事業主は99万円)を支給

よくある質問

Q. 手当支給等と新規雇用は、同じ育児休業について両方申請できますか?
同一労働者の同一の育児休業については、手当支給等(育児休業)と新規雇用(育児休業)はいずれか一方のみの支給となります。

Q. 業務代替手当は、誰に対しても同じ金額を支給すればよいのですか?
支給額は業務代替者に実際に支給した手当総額の3/4(プラチナくるみん認定事業主は4/5)で計算されるため、手当の金額設計によって助成金の額も変わります。
上限額(月10万円など)を踏まえて制度設計することをおすすめします。

Q. 新規雇用は中小企業でなくても対象になりますか?
新規雇用(育児休業)は「特定事業主」(業種を問わず常時雇用労働者300人以下等)が対象で、いわゆる中小企業の基準とは異なります。

まとめ:周囲の社員への手当支給も助成の対象に

育休中等業務代替支援コースは、育休取得者本人だけでなく、その業務をカバーする周囲の社員への配慮を後押しする制度です。手当支給の仕組みづくりから代替要員の新規雇用まで、自社の状況に合わせて活用を検討できます。

「業務代替手当をどう制度化すればよいか」「新規雇用のケースで対象になるか知りたい」といったご相談は、ぜひ当事務所までお気軽にお問い合わせください。

本記事は執筆時点(令和8年度)の公表資料に基づく情報です。助成金の要件・支給額等は、年度改定に限らず随時見直されることがあります。最新情報は厚生労働省公式サイトでご確認いただくか、当事務所までお問い合わせください。